小公女セーラ 38話『こわされた魔法』

1985年10月13日放映

脚本   中西隆三

監督   黒川文男

絵コンテ 鈴木幸雄

作画監督 石井邦幸

 

朝、起床したセーラが隣の壁を叩きます。ベッキーが飛び起きる。

まるで目覚まし時計だ。

今朝も魔法のごちそうは消えません。

スープは冷めていましたが、ベッキーは食べ物が冷たいぐらい慣れていると言って、二人仲良く食事をする。

ベッキーは毛布や食事がうれしくてたまらない様子で、魔法使いにお礼を言いたいそうだ。

ほんとうに魔法使いからの贈り物だと思っているんですね。

セーラは、ベッキーの思いは魔法使いに伝わっていると答えます。

ちょうど、屋根裏部屋の窓の外にはラムダスの姿が…

そりゃ伝わりますよね。

 

セーラは元気を取り戻して働きます。声も弾み顔色も良い。

ベッキーも同じように元気だ。

モーリーとジェームスは、セーラとベッキーが盗み食いをしていると怪しむ。

戸棚にあった食べ物を調べるが、全部残っていました。

病み上がりのセーラがなぜ元気なのか台所夫婦には見当もつきません。

食堂ではセーラが元気よくミンチンに挨拶する。

「おはようございます、院長先生」

アメリアは驚き、ミンチンは不愉快な顔だ。

 

院長室でミンチンが苛立ちを見せる。

「血色ばかり良くなって」とか言ってます。

ミンチンはセーラを病気にさせたいのでしょうか?

ミンチンの論理がわからん。

アメリアは、一頃のセーラがお腹を空かせていまにも倒れそうに見えたとか平然と言う。その発言にミンチンが怒る。

「世間体の悪いこと口にするんじゃありません!」

するとアメリアは、「そう見えただけで…」

この姉妹はどっちも悪質だ。

 

ミンチンは台所夫婦を呼びつけます。

必要以上にセーラに食事を与えているのではないかと疑う。

しかし、この夫婦がそんなことをするはずがありません。

セーラがどこかで盗み食いをしているに違いないと、ミンチンは勝手に決めつけます。

ミンチンはセーラの行動を監視するよう夫婦に指示する。

買い出しに行くセーラの後をモーリーが尾行します。

それに気づかないセーラとピーターは市場で談笑しながら歩く。

セーラは帰り際にピーターからリンゴをもらう。

その様子を憎々しげにモーリーが見ていました。

※この市場のシーンで面白いカットがあるんです。

ピーターの背後に銭形警部がいます。よく見ると、その左側に立ってる御婦人の横顔がルパンだ。

アニメーターさんの遊び心でしょうね。

 

この後、ミンチンたちはピーターが屋根裏に忍び込んでいると勝手に推理する。

ピーター犯行説を唱えたのはモーリーだ。

ピーターがリンゴをセーラに渡していたことや、

セーラがいつも楽しそうに買い出しに行っていたこと、

帰りがいつも遅いことを推理してピーター犯行説を結論付ける。

ミンチンもその説を信じたようだ。

 

ミンチン姉妹はセーラの屋根裏部屋を調べます。

アメリアはうんざりした顔で仕方なく調べる。

いったい、どういう物的証拠を探しているのかわかりませんが。

やがて、壁の穴からメルが出てきて、アメリアが悲鳴をあげる。それでいったん捜索終了。

 

夜、残業するセーラとベッキーに台所夫婦がいつものように嫌味を言う。

夫婦が去ってから、ベッキーが言います。

「お嬢様、これでせいせいして仕事ができますね」

ここのシーンいいな。

仕事が終わって二人が屋根裏に戻ると、今夜も魔法のごちそうが用意されていました。

一方、三階の空き部屋でミンチンとモーリー、ジェームスが潜んでいました。

3人が屋根裏へ上がっていく。

視聴者の子どもにとっては手に汗握るシーンだ。

何も気づかないセーラは楽し気にベルサイユ宮殿の空想を始める。

セーラとベッキーが食事を始めようとした瞬間、ドアが開く。

幸せな空間が一気にぶち壊しになる。

ベッキーが土下座して、これは魔法だとミンチンに訴える姿が痛々しい。

ミンチンは寝具も食器もすべて没収するよう指示。

ジェームスは高価な食器や豪華な食事に興味津々のようだ。

食事はあとでモーリーとジェームスが食べたのかな?

 

ミンチンはセーラに屋根裏部屋には住ませるわけにはいかないと言い放つ。

セーラはモーリーに連行されていきます。

集まる生徒たちの目の前を通り過ぎていく。

アーメンガードやロッティはセーラが追い出されると心配したことでしょう。

ミンチンはほくそ笑んでいます。冷酷だ。

ラスト、セーラの行き場所は馬小屋でした。

秋の夜風が吹く裏庭がほんとうに寒そうだ。

「たっぷりいい夢をみるんだね」

極悪モーリーの捨て台詞が残酷だ。

ラビニアたち三人組の幼稚なイジメなんかよりはるかに非道な行いですよ。